なぜ日本人は働きまくるのか 9つの理由

オーストラリアで働き始めて2年半が経つ。仕事に関しては色々と日本との違いに気が付かされる毎日だけど、もっとも大きく違うなと感じるのは働く時間。オージーはほとんど定時で帰る。もちろん職種や会社によってマチマチだけど、労働時間は日本の平均よりも圧倒的に少ないだろう。オーストラリア以外の国ではどういう働き方が正常なのかはあまり知らないが、日本より多く働くっていう話はあまり聞いたことがない(アジアの一部の国は日本同様に残業が多いらしいけど)。


僕は経済学者でもなければその件について真剣に分析してるわけじゃないけど、いくつか理由があるように思える。ちゃんとまとまらないかもしれないし識者から見たらおかしな話に見えるかもしれないけど、自分の独自見解を書いてみる(以下、1ヶ月ほど前にTweetした内容のまとめたものです)。


理由1: 仕事の役割が曖昧
自分の役割を明確に定義したドキュメント、契約書がなく、仕事の境界が曖昧。そのため、自分の役割外の仕事が舞い込んで来ても対処せざるを得ない。また、個々人のスキルセットやそのプロジェクトで必要とされているスキルがはっきりしないため、欠員が出た際に他の人員を割り当てにくく、それが結果として休みにくい文化や特定個人への仕事の割り当ての増加を招いている。


理由2: お客様至上主義
本来はサービス価値に対して客がお金を払うわけで、客と売り手は対等であるべき。でも日本では何故か客の方が圧倒的に偉い。そのため何か問題がある時のしわ寄せが全部売り手にふりかかって来る。結果として顧客と対等な交渉出来ない。


理由3: 過剰サービス
日本のサービスは本当に最高だけど、実はそこまでのサービスする必要はなかったりする。本当に荷物が翌日に届く必要があるのか?24時間のコンビニが必要なのか?日曜祝日も店を開く必要があるのか?サービスレベルが適当ならば、それにあわせて生活パターンを変えたり、自分でアイデアを絞って乗り切れるものだ。過剰サービスを提供するために誰が苦労しているかと言えば、それは労働者なのだ。だからといってサービスのレベルを落とそうにも、今のサービスレベルに慣れ親しんだ日本人に対して今更レベルを落とすことは出来ないのが現実。労働者は苦労して稼いだ金を過剰サービスにつぎ込むというループにハマってしまっている。


理由4: 仕事至上主義
毎日遅くまで働いて、何もかもを犠牲にして仕事を最優先する人に対する評価が高い。家族が病気でも仕事を優先する!という姿勢がプロフェッショナルとして人を感動させて評価される文化。人生で一番大切にしなければならないのは何なのか?の観点がずれている。


理由5: 終身雇用
転職を繰り返してしてキャリアを積む文化ではないため、従業員に無理強いしても他の会社に逃げられない。そして従業員は会社と交渉出来ない。最近の景気低迷により転職しにくい環境がさらに事態に拍車をかけている。


理由6: 狭い日本市場
日本は高レベルの強豪他社が数多くひしめき合ってるので価格競争に陥りやすく、そのしわ寄せが労働者に来る。海外に市場を求めようにもその方法が分からず、仕方なく競争が激しい日本市場を選ばざるを得ない。


理由7: 残業当たり前文化。
残業が異常という意識が管理職にも労働者にもない。残業ありきのスケジュールを立てる。残業しないで仕事を終えることがプロという認識が薄い。オーストラリアで働いている人は「残業」=「悪」、「異常」という意識がすごく高い。残業させるような管理者はマネージメント能力がないと判断される。また、休日や残業手当が日本よりも異常に高額なため、管理者が休日出勤や残業を避けるように自然とマネジメントするようになっているのも一因と考えられる。


理由8: 昔の仕事のやり方を押し付ける管理職
昔自分が残業しまくって仕事したことを前提にして部下に仕事を押し付ける。俺は若い頃は...的発想。部下もその環境で育つため残業をしない働き方を身に着けておらず、結果として自分の部下にも同じような対応をする。


理由9:周りと合わせる文化。
周りが苦労してるんだから俺だけワガママいうわけにはいかない...と、自分の主張を我慢する。Aが残業してるなら俺も残業する。お前も残業しろ…といった具合。協調性が強みになることも多いが弱味になることもまた多い。


以上。組織というよりも日本の文化によるところが多いので、個人レベルで対処するには難しい問題ばかり。でも日本の働き方は異常なんだという意識は常に持っていないと、この先話が繋がらないし改善の余地はない。自分が日本に帰って働き始めた際に、この日本とオーストラリアとの働き方の差異をどこまで埋められるかわからい。けれど色々と努力はしてみるつもりだ。それが日本の外の世界を一度経験してきた自分の強みの1つでもあるわけだから。