ほぼ折り返し

Sydneyに住み始めて、早いものでもう少しで1年半が経過する。気がつけばもう折り返し地点…。当初想定していた「俺の1年半後像」と今の現実とのギャップにちょっとブルーになったりもするけど、得られるものもたくさんあったわけで、これから先、未来の1年半を今まで以上に充実して過ごしていきたいと思う。
そこで最近よく考えるのは、帰国後も含めて今後の人生…主に仕事上のプランをどうしようかなぁ…ということ。
日本のIT企業はいわゆる「管理者」がエライ地位にいて、どんなスペシャリストだとしても、所謂「技術者」の地位は極めて低い。日本企業特有の多重下請構造がそういう現状を招いているような気もする。そんなことは前から分かっていたことなんだけど、日本に帰ったらどんどん管理系の仕事が増えていって、技術的なことはどんどん少なくなっていくんだろうなぁ…と考えると、なんか漠然と「面白くないなぁ」と感じてしまう。このままの路線で進んだ場合に想定できる将来の自分が、果たして自分が本当に興味があって面白いと思えることをやっているのだろうか…と。
別にプロジェクト管理が嫌いなわけじゃなくてむしろ好きでもあるんだけど、なんつーか、技術的な側面から離れた立場でのプロジェクト管理って、全く興味がないんだよなぁ…って分かる?分からないか。ニュアンスを伝えるのが難しいな。日本語が下手になったかなぁ。「自分が本当にやりたいこと」はモノづくりであり、その上で技術的なことに携わること(極めて抽象的ではあるが…)。技術的ってのは別に実装を自分でやる・やらないとかそういうレベルの話じゃなくて、設計やらコンセプトやら、そういうことも含めて。単純に「中身を良くわかってない管理者」にはなりたくない。
日本に住んでいる時はこの「やりたい仕事」と「実際に割り当てられた仕事」のギャップに悩むことはあまり多くなくて(つまり理想と現実が非常に近い立場いにいた)わけだけど、今後はそうもいかない状況が増えてくると思う。その際に、どの程度まで自分の意見を通すか、単純にいえばワガママをいうか…ってことがポイントになってくるんだろうなぁと(今までも十分ワガママだったような気もするけど…)。「そんなワガママばかりで仕事が出来るわけがない。それが組織として動いている会社であり、サラリーマンってモンでしょ?」という大人な意見の人が多いと思うけど、それって非常に「日本的な大人な意見」であって、組織のためならば自己を犠牲にする…という精神が色濃く出ているような気がしてならない。それぞれの個性・スキル・将来性に合わせた「適材適所」という考えがあまり浸透しておらず、単純に頭数を揃えるために、その人の将来のキャリアを考慮せずに人材配置をしているような場面も多いように思う。
こちらの人たちはもっと会社と対等な立場にいて、自分の意見はものすごく主張するし、自分たちのキャリアパスを自分たちの責任の元、真剣に考えているように感じる。世界的に見るとオーストラリアの景気が比較的良くて職に困りにくいという環境が、従業員と会社の対等な関係を形成しているとも言えるが、単純にそれだけのせいではないとも思う。
やりたくない仕事をやらざるをえない状況があるのは、もちろんどんな仕事でも当たり前のことなんだけど、それが果たして自分のキャリアにとってどういう意味を持つのか?ということを常に、真剣に考え、「本当に無意味なこと」と「何かしら自分のキャリアパスに必要なこと」を自ら論理的に判断して切り分け、然るべき対応していく必要があるように感じる。
そんなわけで、日本に帰るまでの残りの期間、真剣に自分のキャリアについて考えつつ、そのための準備をしていければと思う。